*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

渡殿の廊に出ると、座って待っていた露草が立ち上がった。





「…………姫さまっ!!」




「露草!!」





汀はにっこりと笑って、露草に抱きついた。





「姫さま、よかった………何ごともなかったのですね!」






「えぇ、大丈夫よ!


心配かけてごめんね、露草!」






「あぁ……わたくし、姫さまをお救いできず、申し訳ございませんでした………」






涙目になって謝ってくる露草に、汀は可笑しそうに笑いかける。






「あら、謝ることなんてないのに。


私、言っていたでしょう?


蘇芳丸が助けに来てくれるって………」







それを聞いて、灯はこっそり呆れ返る。






(どうやったらここまで盲目的に他人を信じられるんだか………)