*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

それを見た汀が、不思議そうに首を傾げる。





「………珍しいわねぇ。


青丹丸が、初めて会う人にいきなり懐くなんて…………」






「……………」






「いったいどういう風の吹き回しかしら」





「……………」








汀の疑問に、灯は答えるつもりはない。





何気ない風を装って左手に青丹丸を抱え上げ、右手で汀の手を握った。






そうしてそのまま局を立ち去ろうと歩き出す。






そこで、春宮はやっと我に返った。







「…………なっ、ちょっと待て!!



我が妻をどこに連れて行くつもりだ!!」






その声に、灯がゆっくりと振り返る。






「………我が妻、だと?


それは一体、誰が決めたんだ」