*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

そのとき汀が、「あ、ちょっと待って」と灯に声をかけた。





灯の手を離し、ぱたぱたと駆けていくと、床に置かれていた筥の蓋を開ける。





待ち構えていたように、青丹丸が飛び出して汀の腕の中に収まった。






「あおにまろ〜〜っ!!


無事で良かったわ、ごめんね!!」






「きゅうん!!」







汀がぎゅっと青丹丸を抱きしめる。




灯は思わず「あ」と呟いて、青丹丸を見た。




それに気づいた青丹丸は、汀の腕の中から飛び出して、一目散に灯のもとへと駆け寄る。






「きゃんきゃん!!」






尻尾をばたばたと振りながら、後ろ脚で立ち上がって灯の足に縋りついた。