*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

しなやかな指に触れられて、何事かと目を瞠る灯に、汀が囁く。





「分かってるわよ、蘇芳丸。


ほぉら、そんなにかりかりしないで。



私のこと、心配してくれたのよね。


それでいらいらしてるのね?



蘇芳丸ったら、ほんとに優しい、良い子ねぇ………」






子犬にするように頭をなでなでと撫でられ、灯は閉口する。






(………だめだ。


やっぱりこいつは、全く話が通じない)







諦めて汀の手首をつかむと、手を引いて歩き出した。