*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

すると汀が、にっこりと笑った。





「あら、そんなこと……考えてもいなかったわ。



だってあなたは、絶対に助けに行くと言ってくれたじゃないの。


だから、間に合わないなんて思いもしなかったのよ」







あっけらかんと言ってのけるので、灯は思わず言葉につまってしまう。




しかしすぐに気をとりなおし、汀の瞳を見据えた。





「………にしてもなぁ………。



状況を考えろ、状況を!!」







「え? 状況?」






「そうだ!!


男に襲われてるのに大人しく俺を待っていたなんて………お前は本当に阿呆だ!」







怒りがおさまらないように荒い言葉を吐く灯に、汀はくすりと声を洩らす。






腕組みをしている灯の手にそっと触れて、優しく笑いかけた。