*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「………もういいっ!!」





灯は諦めたように首を振った。




それを見て汀はやっと気がつく。






「………蘇芳丸ったら、なにか怒ってるの?」






とぼけた問いに、灯は顔をしかめた。






「ね、怒ってるの? どうして?」






心から不思議そうに訊いてくるので、灯はその頬を軽くつまんだ。






「………なぜお前は、されるがままになっていたんだ!!」




「え?」




「あの男に押し倒されているのに、ぼうっとしていただろう!?」






灯は春宮を指差した。





春宮はこの無礼な闖入者を呆然と見上げている。