*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「…………蘇芳丸」






「……………」







「……………蘇芳丸!!」







灯はゆっくりと足を踏み出した。




妻戸の隙間から月影が差し込み、汀の姿が目に入る。







その薄花色の瞳は、喜びを浮かべて真っ直ぐに灯に向けられている、が。









「…………!」






春宮に押し倒され、肌をあらわにした、無防備な姿。





灯は驚いたように目を見開いたあと、切れ長の瞳をすうっと細めた。







「…………の、阿呆が」