*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

首尾よくいったことに、卯花と楪葉がにっこりと顔を見合わせる。





その横を通り過ぎていった男たちの最後尾にいた一人が、ちらりと二人の姿を視界の端に捉えた。




そして、歩きながら首を傾げる。





「…………ん?」





怪訝そうな声を聞いて、男たちが振り向いた。





「どうなされた」




「………なんだか、ずいぶん奇妙な格好をした女房でしたぞ」




「奇妙というと?」




「裳もはかずに、唐衣を頭から被っておったのです」




「なんと!?」




「まさか………今の女たちこそが物の怪なのでは?」






男たちが慌てて踵を返し、二人のいた所まで戻ってみると。





そこには既に、影も形もなかった。