*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

卯花が先に立ち、建物の中を歩き回る。




楪葉はどきどきしながらその後をついて回った。





しばらくすると、向こうの方から男たちの声が聞こえてきた。





卯花がぱっと楪葉を振り返り、そちらの方を指差す。




楪葉はこくこくと頷き返した。






宮仕えの貴族女性にしては短すぎる髪を隠すように、二人は唐衣を頭から被ることにする。





………かなり異様な風体になってしまっているが、そんなことには気づく余地もないのだった。






「よし、行こう」




「うん!」






卯花はしずしずと廂の間を横切り、曲がり角までやって来た。





男たちがわいわいと話し合いながら近づいてくる。





卯花は深呼吸をして、できる限りおしとやかな声を出した。






「あの………そちらの殿方にお伝えしたいことが………」