*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「おぅ、藤波、糸萩。


お姫さんの居場所は分かったか」





「………あぁ、なんとかね……」





なぜかげんなりとした顔の藤波に首を捻りながら、群雲は「ご苦労」とねぎらった。





まだ年若い藤波と糸萩なら、もし宮中の誰かに見つかっても、舎人童か何かだろうと思ってもらえるかもしれない。



そう考えて群雲は二人を行かせたのだ。





無事に帰ってきて、ほっと一息ついた。






「入りやすそうな所か」





灯が藤波の傍らにやってきて、短く訊ねる。





藤波は少し考えてから、口を開いた。