*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語








「…………っぶなかったね!!」



「………あぁ、ほんとにな」





糸萩がどぎまぎしたような表情で見上げると、藤波もこくりと頷いた。





栄耀殿の庭先から、汀と春宮らしき二人の姿を確認していたところ。




こちらに気づいた汀が、唐突に声を出ししまったのだ。





もし万が一春宮に見つかったら、すぐに内舎人(うどねり)が呼ばれ、下手をすれば滝口の武士まで参集しかねない。




あわや囚われの身に、という危機一髪の事態になるところだった。






「藤波が言ってたとおり、なんだか不思議なお姫さまだね………」





「考えなしというか、頭と口が直結してるんだろうね………」






二人は胸を撫で下ろしながら、白縫党の皆が集まる場所に戻った。