*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

(………だあれ?)





春宮に引きずられながら、汀の視線は少年たちの上にとまっている。



春宮のほうは、一刻も早く汀を御所まで連れていくことで頭がいっぱいで、庭を見る余裕などないらしい。





背の高い少年のほうが、小柄な少年を肘でつつき、汀のほうを指差した。





(………あ。あの子、見覚えがあるーーー)




汀の目がさらに大きく瞠られたのに気付いたのか、背の高い少年がにやりと口角をあげた。





「ーーーあっ、そうだわ! 


あのとき蘇芳丸を連れていった………」





汀は喜びのあまり、思わず口に出してしまった。