*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

(………あぁ)





思わず、吐息が漏れる。





(なんて、きれいな月ーーー。


こんなにも澄んだ光は、見たこともないわ………)






春宮に抱えられ、引きずられるように簀子まで連れ出されながら。




汀は状況も忘れて、恍惚とした表情で月に見蕩れていた。






その時、御前の庭に人影が二つ、突然現れた。





(………え?)





汀は目を見開いて、その人影を見つめる。





どうやら、少年二人であるらしい。



一人は小柄で、もう一人は背が高かった。