*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

春宮は唐櫃を跨いで、汀の褥の上に屈みこんだ。






「………さあ、妻よ。



そなたの美しい顔をーーー美しい瞳を、私に見せておくれ」






覆いかぶさってくる春宮の気配に、汀は言葉も出ないほどに慄いた。








(ーーーーーいや!!



こわい…………こわい………っ!!)







汀はかたかたと震えながら、夜着をぎゅっと握りしめた。






「…………どうした、姫?」






いつまで経っても汀の反応がないので、春宮は焦れたように夜着に手をかける。







「………さぁ、姫よ。



疲れや具合の悪さなど、私が癒してあげるぞ。


恥ずかしがらずに出ておいで………」







機嫌をとるような猫撫で声を聞いて、汀の全身に鳥肌が立った。