*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

夜着に包まるようにして息を殺す。





足音はすぐ近くまで迫っていた。





そして、格子の前でその足音が止まる。








「ーーーーー失礼するぞ。



我が最愛の妻、栄耀殿の女御よ」









…………まぎれもなく、春宮の声だった。









汀は自らの肩を抱くようにして身体を丸めて、ぎゅっと目を閉じた。







みし、みし、と足音が近づいてくる。






(…………どうして?)






汀の怯えを嘲笑うかのように、春宮はその息吹まで聞こえるほどの距離までやって来た。







「我が妻よ。


そなたがあまりにつれないので、私はとうとう、自ら足を運んでしまったよ」