*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

明るい月影が、汀の頬を優しく濡らすように照らし出した。






「月………きれいな、月………」







呟いた、その時。







ぎし、ぎし、と床板の鳴る音を、汀の耳がとらえた。






汀は大きく目を見開くと、音の聞こえてきた方へと視線を送った。






簀子をこちらへ向かってくる人影が見える。







(……………)








汀はじっと目を凝らした。






顔は見えないが、その姿形には見覚えがあった。







「……………!」








汀はさっと身を翻すと、手近にあった唐櫃を移動させ、褥の敷いてある畳の前に置いた。




そうしてさっと褥に入って、夜着を頭から被った。