*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

『俺が、必ず助けに行く。




必ず助けに行くから、大人しく待ってろ』







汀はゆっくりと瞼を上げ、御簾の方へと視線を投げた。






廂と簀子の間の蔀格子(しとみごうし)は既に下ろされていた。





汀は立ち上がって廂の間に降りると、自分で格子の上半分を上げた。






御簾の向こうに、半月に近くなった二十日余りの月が輝いている。





それは、すっかり夜が更けていることを示していた。







(…………もう、こんな時間なのね)