*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「なんだって?


あいつこそ今は囚われの身だろう。



なぜお前を逃がすことができたんだ?」







すると藤波は、口をへの字に曲げて肩を竦めた。







「とつぜん空を指差して、『あっ、天人たちが月の都からかぐや姫を迎えに!』ときたもんだよ。



んで、皆が思わずそっちを見た隙に、俺を逃がしてくれたわけ」







「……………」







汀の相変わらずの破天荒ぶりに、灯は言葉もない。








そこへ、群雲が灯の肩を叩いた。






「灯、よく戻ったな。


とりあえず、ひと安心だよ」