*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

灯は家々の間を駆け抜けながら、嗅覚と聴覚を研ぎ澄ます。




少し離れたところに、嗅ぎなれたにおいが集まっているのが分かった。





(ーーーーーいた………)





灯は微かに口許を緩めると、一目散にそちらへ駆けだした。






「ーーーーー灯!」





一番はじめに灯に気付いたのは、周囲を窺っていた糸萩だった。






その声を聞き、全員の視線が一斉に灯に集中する。





灯は苦笑しながら、白縫山の仲間たちの元へと向かった。