*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

馬番付きで外に待たせていた馬の背に、灯を乗せる。



馬の前には、『白縫山の火影童子』、『冷酷無比なる大盗賊』、『世になき大悪党』などと書かれた札を掲げた男たちが意気揚々と控えている。



このような罪状の札と共に、市中引き廻しをしながら刑場へと向かうのである。








そうして、いざ刑場へと足を踏み出そうとした、その瞬間。






「ーーーーーわっ!」






馬につけられた手綱を引いていた男が、悲鳴を上げた。






「なっ、なんだ!?」






何事か、と周りの男たちの視線が集まる。




馬番の男の足元に、一本の矢が突き刺さっていた。