*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

看督長は苛立ったように眉間に皺を刻み、灯の牢に掛けられていた厳重な錠を外した。





「出ろ、行くぞ」




「……………」





灯は逆らう様子もなくすらりと立ち上がって、身をかがめて低い牢の扉をくぐって出てきた。





看督長は、見張り番に立てていた二人と、さらに護送のために連れてきた三人の男たちに、灯の周りを取り囲ませる。





灯の両手首にはきつく縄が巻かれていたが、その上にさらに、分厚い木製の手錠が掛けられた。






そのまま、看督長が縄を引いて、灯を地下牢の外に連れ出した。