*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「…………なっ、なぜですか?



なぜ、露草までーーー」







兼親が眉間に深く皺を刻み、答える。







「…………当たり前だ。



女房である露草が、お前を引き止めるべきであるのに………。


それにも関わらず、あろうことか、共に出奔するとは。



許されざるべき行為だ」








「違います! わたくしが無理やり………」







汀が反論を試みたが、兼親は聞く耳を持たない。







「本来ならば、すぐに里に戻して然るべきだが………。



しかし六の君の入内に随伴させられる者はやはり露草しかおらぬ。



仕方がないので、このまま女房として付けておくが………。




二度とこのようなことがないよう、ーーー分かっているな?」







兼親は鋭い眼光で露草を睨みつける。




露草は黙って頭を下げた。