*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

検非違使たちは数人がかりで、倒れた男たちを起こしにかかった。





ほとんどは完全に気絶していたが、三人ほど、なんとか目を覚ました。







一番頭のはっきりしていそうな男に、検非違使の代表が訊ねる。







「………その方たち、右大臣邸の者だというのは、まことか」





「…………あ、ああ、そうだ。右大臣殿の舎人をしている」






男が身を起こし、軽く頭を振った。






「ここで何をしておられた」





検非違使に訊ねられ、舎人がはっと我に返った。






「………た、頼む! そこの姫君を、捕らえ申し上げてくれ!」





「なんと!? 姫君だと?」






検非違使たちが一斉に、舎人の指差した方向に目を向けた。