*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

汀が不服そうな顔をして、何かを言い返そうとしたが。





灯は人差し指を立てて自分の唇に当て、黙っているように合図した。







(ーーー頼むから、これ以上余計なことして事態を引っかきまわさないでくれ!)







灯の送った念が通じたのか否か。





汀は唇を尖らせながらも口を閉ざした。






その時、検非違使の一人が、灯の前に倒れている男たちを見て、慌てたように声を上げた。







「ーーーあっ………この男たちは!!



見覚えがあります、右大臣邸の者です!」






「なんだと?」







先頭にいた男が、驚いたように目を瞠った。







「………右大臣邸の男たちが、なぜこんな所に………?」