*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

灯たちの前に、狩衣姿に刀と弓矢を持った男たちが立ちはだかった。






灯は咄嗟に振り向いて逃げ道を探したが、手回しの良いことに、後方からも検非違使たちが迫ってきていた。






(………………やられた)







灯が悔し気に心の中で舌打ちをする。






一人ならばこの窮境を脱け出すことなどいとも容易いのだが。





藤波だけならまだしも、汀と露草を連れたこの状況で、勝ち目があるとは思えなかった。







検非違使たちの一番前にいた年嵩の男が、馬に乗ったままゆっくりと進み出てきて、灯たちの前に立った。







「…………お前、そこの背の高い奴。



頭巾を外してみろ」







「………………」








指を差された灯は、黙って男を睨みつけた。