*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

気を失って倒れこんだ仲間に驚き、残りの男たちは色めき立った。





「なっ、何者!!」






慌てた様子で刀を鞘から抜き、弓に矢をつがえる。





しかしその刹那に、灯は目にも留まらぬ速さで男たちの間を駆け抜けた。



流れるような動作で次々と後ろ頸を手刀で打ち、気絶させていく。






訳も分からず混乱に陥った男たちの後ろで、藤波が汀と露草の腕を引き、二人を背後に匿った。





今や、灯と対峙しているのはたった三人である。




しばらくの間、牽制しあうように睨み合っていたが。





一瞬の隙を突き、灯はさっと横に飛びすさった。





男たちの目には、灯の姿が瞬間にかき消えたように映った。