*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

男たちが、市女笠を被った旅装束の女二人連れを呼び止めるのが見えた。









「……………あ」









藤波が小さく声を上げた。






笠に半ば隠れた白皙の横顔を見ただけで、すぐに分かる。












「………………汀」









聞こえないほど小さな、灯の呟き。









二人は言葉も合図もなしに、同時に駆け出した。