*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「…………だめだ、灯!」






藤波が灯の顔を覗き込む。






「こんな人目の多いところで、目立っちゃまずい!」






人々が集まっている中で屋根に飛び移ったりしたら、悪目立ちしてしまうだけである。





万が一にも、火影童子だとばれてしまえば、すぐに捕らえられてしまうだろう。








藤波に止められ、灯は蒼ざめた顔でゆっくりと立ち上がった。







息を大きく吐き出した後、「行くぞ」と呟き、再び走り出した。