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灯の鼻と耳が使えないので、二人は仕方なく、市の中を手当たり次第に歩き回っていた。
「………人探しをしてみると、市も広いもんだね」
「…………なんせ人が多いのが、どうにもならないな」
二人はげんなりとしながら、しかし視線だけは忙しなく動かす。
灯はさらに、どこかに一筋でもにおいや声が紛れていないかと、嗅覚と聴覚も研ぎ澄ましていた。
その耳が、ぴくりと動いた。
はるか向こうの通りで、刀の鞘がぶつかり合うような音が響くのを聞いたのである。
まさか、と思いつつも、藤波の肩を突ついて促し、急いで駆け出した。



