*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「は。………六の君さまに姿形の似た下女が、二人連れで裏門から出て行くのを、昨日の夕方に見たというのです」






「………ほう」







「その二人連れがどんな装束であったかを聞き、雑舎の下女どもに確認させたところ、それらしい着物がなくなっていると申し出がありました」







「…………つまり、六の君と露草は、下女の衣服を盗んで、下賤の者に身をやつしているというわけか」






「は、そうではなかろうかと」







「よく分かった。では、その下女の服装を伝えて、者どもに探させろ!」








兼親の命令により、二人連れの特徴を言い含められた大勢の男たちが、都の方々へ散らばっていった。