*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「お代といいましても………。


このような物しかご用意できないのですが、よろしいでしょうか」






露草はそう言って、汀が邸からこっそり持ち出した鏡を、懐からそっと取り出した。





それを受け取った老人が、大仰に目を瞠る。







「………なんと!!


一点の歪みも曇りもない、素晴らしい鏡でございますな!!



これはもう、たいそうな高価で取引できることでしょう。




…………よろしいでしょう、お客さまのお望み、何でもお叶えいたします」







「まぁ、よかったですわ!」







露草はほっとしたように、後ろの汀に笑いかけた。







「して、お望みのものとは?」






「あの、わたくしたち二人の旅支度を、整えていただきたいのです」








それを聞いて、老人は眉を上げた。