*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「あのぅ、もし。


お尋ねいたしたいのですが」






汀を背後に隠すようにして、露草は店内に声をかける。





しばらくすると、奥から驚くほど腰の曲がった老人が現れた。






「はいはい、お待たせいたしました。


なにが御入用でしょうかな」






「………あの、こちらのお店では、何でも揃えてくれるのだと伺ったのですが」







すると老人が、きらりと目を輝かせた。







「どこぞで、当店の裏稼業をお聞きになったようでございますな。



ーーーさようでございます。


当店は、お客様のお望みのものを、極秘に内密に、なんでも揃えてさしあげるのですよ。



………ただし、お代をたんまりお支払いいただける方、限定ですがね」







老人はにやりと意味深な笑みを浮かべた。