*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語








そのころ、汀と露草は。






「ね、ね、見て見て露草!


この馬、とってもきれいな目をしてるわね!」






「えぇっ、そうですか?


わたくしには、他の馬との区別がつきませんが………。




あっ、それより姫さま、こちらをご覧くださいませ!


なんと美しい細工の櫛でしょう!」






「えぇ? そう?



私には違いがよく分からないけど………」







市女笠の女たちに紛れて、二人は市を散策していた。




青丹丸は汀の懐から顔を出して、きょろきょろと周りのにおいを嗅いでいる。





その青丹丸の頭を撫でながら、汀が呟いた。




「………昨日の宿の女主人が言っていた店は、どこかしら」





「確か、馬屋の二軒南隣と言っておりましたわね」





「あっ、では、この店ね!」







目的の店を見つけ、二人は中に入っていった。