*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「はあぁぁぁっ!!??」







藤波の素っ頓狂な声が往来に響き渡った。




灯が慌ててその口を塞ごうとしたが、藤波は呆れ返った表情でその手をはねのけた。








「…………なんだって!?


あの青い目のお姫さん、逃げちゃったのかよ!?



………せっかく俺たちが救いに来たってのに!?」









藤波が目を白黒させながら言うので、灯も呆れた表情で同意するように頷いた。









「…………まったくだよ。



ほんとにあいつは………余計なことしかしないんだから………。




振り回されるこっちの身にもなってほしいよ………」








二人は東二条邸のかたわらで、呆然と立ち竦むのだった。