*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

顔を隠すために、市女笠をかぶることになる。




しかし、目隠しのための被衣(かづき)や枲の垂れ衣(むしのたれぎぬ)を用いれば、逆に高貴の人と疑われかねない。




そのため、素顔を見られてしまう不安は抱きながらも、笠を深く被った顔の下半分はさらす形で外に出ることにした。






身支度を終えると、汀はぱちぱちと小さく手を叩いた。





その音を耳聡く聞きつけた青丹丸が、どこからか駆けつけた。






「青丹丸! あなたも来るわよね?」






汀が微笑むと、抱き上げられた青丹丸はくぅんと答えた。