*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

とにかく、人目を盗んで逃げ出すしかない。




しかし、姫君と女房である二人は、その身なりからして目立ってしまう。







考えた末、二人とも下女に身をやつすことにしたのだが。





貴族の娘である二人が持っている衣裳は、どれも生地からして高級なものばかりで、一目でそれと分かってしまう。






汀は仕方なく、使用人たちの住んでいる雑舎(ぞうしゃ)に忍び込み、「ごめんなさい」と呟きながら下女の衣服を盗んできた。




代わりになるかは分からないが、自分の小袖を三枚と帯を二本、きれいに畳んで置いておくのも忘れなかった。






身に纏ったこともないほど薄く、ごわごわと固い生地に驚きながらも、二人は急いで着替えを済ませた。