どこかぼんやりと日々を過ごしている汀の周りで、入内の準備は着々と進められていた。




もともと兼親は、汀を引き取った時からすでに嫁入り道具の制作を始めさせており、ほとんどのものは揃っていた。






様々な土地で織られた最高級の生地。



繊細な細工の厨子や棚などの類。



華々しく蒔絵で装飾された筥や鏡。



食事の際に用いる漆器。






その他にも、ありとあらゆる豪奢な品物が、東二条殿に集められた。






これらの道具類と共に、汀は牛車に乗せられて、内裏へと向かう予定なのである。