白縫山に戻った灯は、村外れにある自分の住処に直行した。




太い樹の枝を集めてきて三角に組み合わせ、枯葉を覆い被せただけの、寝るためだけに作られた質素な住処である。





枯葉や枯草が敷き詰められており、灯はその中に身を埋めて眠っているのだ。






中に入り、枯葉をがさごそと掻き回して目立たない色の装束を探し出すと、手早く着替えを済ませた。






住処を出て、険しい山道を下っていく。





その途中で、背後に迫る微かな足音を、灯の耳が捉えた。







「…………だれだ」






灯は後ろをちらりと一瞥し、低く訊ねる。