*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

灯は表情を変えることもなく、女たちに訊ねる。





「初めて都に来たんだよ。



………なぁ、あんたたち。


春宮のこと、知ってるか」





唐突な問いに、女たちはそろって眉を上げた。






「………春宮さま?


そりゃ、知ってるけどさ」






そう答えた年かさの女に、灯は視線を移す。





「どんな奴かも、知ってるか」





すると女たちが顔を見合わせた。




そして、くすくすと笑いはじめる。






「…………なんだ」





灯は怪訝そうな顔をした。