*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「…………やっぱり玉砕だな」





可笑しそうに言う声が聞こえて、檀弓は不愉快そうに振り向いた。





「いやらしい奴ね、群雲。覗き見?」




「いや、頭領として村の見回りさ」




「よく言うわよ」






群雲と檀弓は並んで村へと歩き出す。






「いくらお前でも、灯の口は割れないよ」




「ほーんと、手強いわ」




「白縫山の姐御の名が泣くな」




「私はまだ諦めてないわよ」




「そうかい。がんばれよ」




「ま、他人事みたいに!」





眉を顰める檀弓に、群雲は笑った。






「あいつの問題だよ、あいつ自身が解決するしかないのさ」