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兼親が去った後、入れ替わるように露草がやってきた。
汀が脇息にもたれて頬杖をつきながら虚空をぼんやりと見つめているので、露草は控え目に声をかける。
「………姫さま、いかがなさいました」
「……………」
「姫さま?」
汀が反応を見せないので、露草はすぐ傍らまで移動する。
そうして汀の顔を覗き込んだ。
その瞳は、やはりどこまでも澄み切って青い。
しかし、どこか焦点が定まらない印象を受けた。
よく見ていると、瞬きさえ忘れているようだった。
「………姫さま、お気を確かに」
肩を揺さぶるようにして声をかけられ、汀はゆっくりと露草に視線を移した。



