*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「ーーーん? あ、あぁ………。


もちろん、知っているとも」





兼親の声に、どこか意外そうな響きがあるのを不思議に思いながらも、汀は続けて訊ねる。





「………あの、母上は、入内のことについて、どう仰っておりますか」




「あぁ、もちろん大喜びだよ」




「…………そうですか………」






汀が納得したようなのを見てとると、兼親はそそくさと去っていった。





ひとり残された汀は、近くに丸まって眠り込んでいる青丹丸の身体を撫でつつ、考える。






(………お母さまが、私の入内を、喜んでいる………。



ーーーそれならば、私は、入内するわ。



それで、お母さまが少しでもお元気になられるのならーーー)