*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

どこかあっけらかんとしたような汀の言葉に、露草は目を瞠る。







(…………姫さまは、そういう御方なのだわ。



おつらいことがあっても、お悲しい気持ちになられても………。



それを他人にお話しして分かってもらいたいとは、お考えにならない。



お一人で全てを抱え込もうとなさるのだわーーー)






汀はいつも明るく朗らかで、言葉数も多い。




しかし、これまでのことを思い返してみると、心の奥深くにある思いを、口に出したことは一度もなかった。






露草は、そのことに気づいて愕然とした。



一見なんの陰もないように思われる、いつも明るい太陽のような光を放つ汀の心の内にひそむ、月のない闇夜のような深い深い孤独を、初めて知ったような気がした。