*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「…………姫さま」




「ん?」




「………なぜ、わたくしに………お知らせくださらなかったのですか」




「え?」





汀が首を傾げて露草を見つめ返す。






「突然の春宮さまの訪れ………姫さま、きっと、たいそう驚かれたでしょう」





「そりゃぁそうよ。びっくりしたわ」





「畏れながら、そのように突然の逢瀬となりますれば、………おそろしい思いをなされたのではございませんか?」





「………そうね。ここだけの話………こわかったわ………」






汀は目を伏せて、囁くように思いを吐露した。