*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

笏を手に取り、露草は汀のもとへと膝行した。






「………姫さま。



そこに、なぜか、こんなものが………」






「え?」






それを見た汀が、眉を曇らせた。





敏感に察した露草が訊ねる。





「お心当たりがございますのですか」





「ええ………」







汀がどこか不愉快そうに頷く。






「一体、どなたの物でしょうか?



お父君の物なのでしょうか………」






「…………いえ。



ーーー春宮さまの物だわ、きっと………」







汀の言葉に、露草が大きく目を剥いた。






「………えっ、ええ!?



とっ、春宮さまの!?」






「そうよ、たぶんね」






「…………そんな、春宮さまのお笏が、なぜここに………?」







そこで汀は、溜め息をついて語りはじめた。