*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

そのような珍妙きわまる春宮からの贈り物の他にも。




この東二条殿には毎日、あらゆる貴族たちから、六の君への入内祝いの品々が届けられており、邸じゅうが物に溢れていた。






(…………なんだか、居心地が悪くなってきたわ………)






汀は憂鬱そうな吐息を漏らした。





それを心配そうに横目で見ながら、露草は本日届いた物々を片付けていく。






新しく取り寄せた唐櫃に仕舞おうと、蓋を開けた時。







「………あら、なんでしょう」






見慣れないものが隅に落ちているのに気づき、露草は首を傾げた。






取り上げてみると。








「ーーーーーまぁ。


これは………笏(しゃく)?」







男性貴族が正装の際に持つものである。





こんなものがなぜここに、と露草は驚きを隠せない。