*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「もしかして………母親のことで、何かあったのか?」






心配そうな声音で問いかけられた言葉に、灯は「は?」と顔を上げた。




そして、真剣な表情の群雲を見て、可笑しそうに顔を綻ばせた。






「…………くっ。


なに言ってるんだ? 群雲………。



いまさら、母親のことなんて………俺が気にしてるとでも思ったのか?」






笑いが止まらないといった様子の灯に、群雲が恥ずかしそうに顔を赤らめた。






「………じゃあ、なんだってお前はそんなに、ぼんやりしてるんだよ」






そう問われると、灯の顔からふっと笑みが消えた。






腕を組み、口許をきつく引き結ぶ。