*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

さわさわと風が吹き、新緑の樹々の枝葉を揺らす。






灯は黙ったまま、風の薫りをかぐように顔を仰向かせた。






灯が何も言わないので、藤波は不満そうな表情になる。






「…………ねぇ、灯。


春宮って、皇太子のことだよね」






「あぁ………そうだろうな」






「てことは、次の天皇陛下?」






「………そうだな」






「そんな人に娶られたら、六の君は………もう外の人なんかと、絶対に会えないんだろうね」






「………………」






「ーーーいいの?」








藤波が、真摯な声音で問いかける。