*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語








薬草を持った楪葉が四つ子と檀弓の家に行くのを見送ると、灯と藤波は村から離れて沢へと移動した。






「ここは相変わらず静かだね」





「………あぁ、そうだな」







白縫村のすぐ近くには川が流れており、生活のための水はそこで汲んでくるのが習わしだ。



したがって、村の人々も、この沢までは滅多にやって来ないのだ。






さらさらと音を立てている沢の流れを、灯は何気なく目で追っていた。




その様子を、藤波が隣でじっと見つめている。







「………ねぇ、灯」





「うん?」





「さっき言ってた話だけどさ」





「話? ………あぁ、なにか言ってたな」