足首に食らいつく子犬を呆然と見つめていた春宮を、なかば押し退けるようにして、汀は青丹丸の身体を抱き上げた。







「青丹丸ーーっ!!


たすけに来てくれたのねっ!?」






抱き上げられて嬉しそうに尻尾を振る青丹丸に、汀は頬ずりをした。






その様子を、春宮はあんぐりと口を開いたまま見つめている。







「……………ろ、六の君?」







怪訝そうな声に、はっと我に返った汀は、慌てて春宮に向き直った。





そして、血の滲んでいる足首に気がつき、蒼ざめる。







「ーーーまぁ、たいへん!


春宮さま、お怪我をなさったのですね!?



あぁ、ごめんなさい、私の青丹丸が…………」







汀はすまなそうに謝るが、春宮の先ほどの振る舞いを思い出し、間合いをはかるようにじりじりと後退りした。